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2010年8月 9日 (月)

広部英一「畝間」

001  広部英一・詩集「畝間」を読みおえる。

 2003年、思潮社・刊。

 先の土曜日に、詩誌「群青」同人の4人が、「喫茶コケッティ」で会ったとき、前もってこぐま星座さんに頼んでおき、借りた詩集3冊のうちの、1冊である。

 「畝間」は、著者生前の最後の詩集である。

 それ以前の全詩集ともいうべき形で、思潮社の現代詩文庫で、「広部英一詩集」が出ており、それで再読も含めて、詩業を読ませてもらっていた。

 この「畝間」の63編の詩はすべて、1連5行の2連で構成され、しかも各編の詩は1行の字数が揃えられている。

 「あとがき」で著者は、「気紛れな遊び心が起きたからかもしれません」と述べている。

 僕は、この形式へのアイデアや努力に、賛同致しかねる。

 内容は、第1詩集「木の船」以来というか、亡き人の魂との交流である。早世した母親や詩の同志との、彼岸此岸を往き来する交流は、詩人の魂のなかで繁かったのだろう。

 「キャッチボール」の、初めの連を引用する。

物干し場にいたら空から飛来したかれが肩に留まった

様子を聞いたら今日も混雑しているよとかれはいった

何の日と尋ねたら日日命日だと返事はそっけなかった

太陽は真上で物干し場には布団や毛布が干してあった

裏通りをわらびもちを売る車がゆっくりと通り過ぎた

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