軽部烏頭子「樝子の花」
角川書店「増補 現代俳句大系」第2巻(昭和56年・刊)より、軽部烏頭子(かるべ・うとうし)「樝子(しどみ)の花」を読みおえる。
原著は、昭和10年、龍星閣・刊。
昭和6年、水原秋桜子(独協中、一高、東大医学部、と同期だった)に従い、「ホトトギス」を離れ「馬酔木」に拠る。
水原秋桜子はその「跋」で、「これほど美しい俳句には無論現代に於て比肩するものはない。(中略)これだけ洗練された美しさを持ってゐれば、もうほかに言ふところは無いと思ふ」と、激賞している。
以下に5句を引く。
山車の灯を遠くながむる一家かな
茸狩るといでたつ妻の紺がすり
啼きいでゝ遠くもあらず鉦たゝき
麦笛にかゞやく路のあるばかり
かづきめに燕に浪はうすぐもり
コメント