楠目橙黄子「橙圃」
角川書店「増補 現代俳句大系」第2巻(昭和56年・刊)より、2番めの句集、楠目橙黄子「橙圃」を読みおえる。
原著は、昭和10年、龍星閣・刊。
彼は昭和6年、間組の代表取締役になっている。朝鮮・満州ほか日本各地を転々とした。
それにしては、句は穏やかである。あとの句集をまだ読んでいないので、確かではないが、次のような感想を持つ。
風雲急を告げる、国内・国際情勢の中で、意識的に平穏な情景を吟じている、あるいはそのような句集しか後世(敗戦後)に残らなかった、のではないか。
以下に5句を引く。
雉子吊るや尾羽根するどく空ウにあり
古盆やのせて年々大粽
小夜ながら紅茶の時間冬籠
春水や沈みをふせし鯉の影
廃宮に鼎大いなり春の雷
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