松藤夏山「夏山句集」
角川書店「増補 現代俳句大系」の第2巻より、8番めの句集、松藤夏山(まつふじ・かざん、本名・一衛)の「夏山句集」を読みおえる。
原著は、昭和12年、龍星閣・刊。
高浜虚子がその序文で述べているように、虚子・編の2つの俳句歳時記が編纂されたとき、取材・編集に心血を注いだとされる。
このように文学の部門で、舞台裏で活躍し、表では小さく光ったのみの文学者(とくにアマチュア性の強い、俳歌詩において)が多くいる筈だ。
著者32歳~45歳(没年)の13年間の、588句を収めた遺句集である。
以下に5句を引く。
春の山登りつめたる鳥居かな
壷焼や海見て憩ふ茶屋床几
湖の水軟らかや行々子
大蟇に話しかけつゝ掃きにけり
干草に針金熊手抛りあり
コメント