詩誌「アリゼ」第139号
兵庫県に在住の詩人・S陽子さんが、お便りを添えて、同人詩誌「アリゼ」第139号を送って下さった。
自分の事だが、すべてのイデオロギーや社会問題(来たるべきユートピアを含めて)から、離れたくなった。定年を控えて、「守りの態勢」に入ったのかも知れない。
そういう心でこの「アリゼ」を読むと、受ける感じも異なってくる。
ファンタジー風や、リアリズムや、信仰に関わるものなど、それぞれの生活と心情から、真実を描こうとしている。
T久美子さんの「繕う」(全4連、23行)が気に入りなので、第1連のみを引く。
繕う
障子のやぶれは
さくらの花のかたちに切りぬいた障子紙でつくろわれる
まだ春も浅いのに
障子のさくらの花は満開
ものにこだわらない陽気な小母さんは
こどもたちの元気さと競うように
障子にさくらを咲かせていった
(後略)
コメント