「スローカーブを、もう一球」
この2月2日に記事をアップした、「エンドレス・サマー」に続いて、山際淳司のスポーツ・ノンフィクション、「スローカーブを、もう一球」を読みおえる。
角川文庫、平成8年35版。
王監督の帯文を付す。
ここに収められた8編のうち、4編が野球選手(プロ2編、高校野球2編)の物語である。
彼は丹念な取材と、スポーツ選手の心情への思い入れによって、読者の心が引き込まれるノンフィクションを描く。
なかでも1980年、「ナンバー」創刊号に載ったデビュー作、「江夏の21球」は圧巻である。1979年の日本シリーズ第7戦、近鉄vs広島の9回裏、1点を追う近鉄の攻撃に対して、リリーフの江夏投手が、ワン・アウト・フルベースのピンチになりながら、心理の交錯を含め、逃げ切ってしまう21投球を描く。
ベンチに戻った、あの不敵な面構え(失礼!)の江夏選手が、うずくまって涙を流したところまで。
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