大橋櫻坡子「雨月」
角川書店「増補 現代俳句大系」を読み進み、第3巻(昭和56年・刊)に入る。
この第3巻には、昭和13~15年に発行された、14句集が載る。
日中戦争の拡大する中、高浜虚子の写生説を守った者、中村草田男ら「人間探究派」のみが残り、厖大な戦争俳句は戦後に残らなかった。
第1冊めの「雨月」は、虚子の序にもある通り、虚子を師と仰ぎ続けてきた大橋櫻坡子(おおはし・おうはし)の、第1句集(600句)である。
原著は、昭和13年、山茶花発行所内「雨月」刊行会・刊。
彼は典型的な花鳥諷詠作家とされる。
以下に5句を引く。
きさらぎや京の街行く眼に比叡
壺の肩に散りし桃かな見て病める
月明し門扉の彫の鳥けもの
町川に橇を洗へる雪解かな
くわうと鳴きくるると鳴きて田鶴舞へり
写真は、第3巻の箱の表である。
コメント