松本たかし「鷹」
角川書店「増補 現代俳句大系」第3巻(昭和56年・刊)より、3番めの句集、松本たかし「鷹」を読みおえる。
原著は、昭和13年、龍星閣・刊。
「鷹」は、松本たかしの第2句集であり、510句を収める。
彼は能楽家の長男として生まれたが、病弱のため家を継がず、父や門弟の庇護を受け、定職を持たなかった。
彼は時事句どころか、父の死も、結婚も句にしなかった。
根本的に芸術派であり、耽美家であったとされる。
以下に5句を引く。
かりそめの菊の根分に小半日
下萌の園ひろからずせまからず
春泥に映りてくるや町娘
行春や暗きもの行く海の面
崖紅葉濃ゆきにひたと御堂あり
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