石田波郷「鶴の眼」
角川書店「増補 現代俳句大系」第3巻(昭和56年・刊)より、7番めの句集、石田波郷「鶴の眼」を読みおえる。
原著は、昭和14年、沙羅書店・刊、263句。
横光利一の序文に、「石田波郷氏は俳句とは文学ではないと云ってゐる。」とある。俳句がなにだと彼が考えていたのか、不明の僕は知らない。
日本が戦争に深入りして行った時代で、「日支事変始まる」「家兄応召、急ぎ帰郷す 三句」「松山城下、軍装の兄と会ふ 四句」の詞書きを付す作品が現れる。
しかし彼の句は、人生探求派、難解派などと呼ばれた。
以下に5句を引く。
バスを待ち大路の春をうたがはず
春の月頑なに行く肩低く
ひとゝゐて落暉栄あり避暑期去る
しづけさにたゝかふ蟹や蓼の花
ふりそゝぐ日に戯れて朱欒毮ぐ
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