山口草堂「帰去来」
角川書店「増補 現代俳句大系」(全15巻)より、第4巻(昭和56年・刊、左の写真はその箱)の初めの句集、山口草堂「帰去来」を読みおえる。
戦時下とはいえ、取り上げられる俳人が、水原秋桜子らの「人間探求派」の流れ、高浜虚子の「ホトトギス」の流れの人物が殆どを占めるのは、後世の作為を感じる。
この「帰去来」にも秋桜子の序文がある。
原著は、昭和15年、交蘭社・刊。
419句を収める。秀句が多く、優れた句集だろう。
三省堂の「現代俳句大事典」(2005年・刊)によると、この「帰去来」よりも、戦後の「漂泊の歌」「四季蕭嘯」などの句集が高く評価されているようだ。
以下に5句を引く。
棹とめてのぼる小鮎を見てゐたり
炭ついでもの書くことにいそしめり
鶺鴒のひかり飛ぶものついばめる
白菊のおのおのひかり寄り咲ける
出勤の靴に凍草きらきらす
コメント