「耳ぶくろ」
日本エッセイスト・クラブ編「’83年度版ベスト・エッセイ集 耳ぶくろ」を読みおえる。
文春文庫、1986年・刊。
単行本は、1982年に発表されたエッセイより、1983年に初年度のベスト・エッセイ集として、61編の作品を収めて、文藝春秋社より発行された。
僕はこのシリーズの文庫本を、この初年度より20冊、所蔵している。
「耳ぶくろ」は僕の予想では、内容だけでなく、しみじみ・ほのぼのした世界かと思っていたが、そうでもなくて、競争意識等があるのか、厳しい世界だった。
功成り名遂げた人物の人生余談が多い。
その中で、作家・宮原昭夫氏の「漁師料理の旅」が、のちにテレビでもたくさん取り上げられた「漁師飯」の美味を伝えて、先駆的である。
もし世の中が、豊かで自由な世界を目指すなら、芸術はそれを先取りするものだろう。
封建遺制の残った世界など、論外だろう。
詩人の交わりは、室生犀星「我が愛する詩人の伝記」の、詩友や後輩との交わりを範とすべきで、僕は何回も読み返している。
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