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2012年6月 8日 (金)

阪本越郎「夜の構図」

 彌生書房「定本 阪本越郎全詩集」(昭和46年・刊)より、8番めの「夜の構図」および「夜の構図 拾遺」を読みおえる。

 原著は、昭和33年、パピルス・プレス・発行。

 敗戦後の初の詩集である。

 運の良い人は、どこまでも運が良い。昭和20年3月14日の東京大空襲で、田園調布の彼の自宅は類焼を免れ、一時は妻の実家の別荘に疎開、9月には自宅に戻っている。

 昭和21年12月には、文部事務官に任じ、社会教育局勤務となる。

 以下に、彼の短い詩を引く。

  

 冬の蠅

    阪本越郎


私の原稿に冬の蠅がきてとまる

出来たての詩を逆に読んでいく


私の原稿に冬の蠅が来てとまる

まだ生きていたかと私を見上げる

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