久米正雄「返り花」
角川書店「増補 現代俳句大系」第5巻(昭和56年・刊)より、4番めの句集、久米正雄「返り花」を読みおえる。
原著は、昭和18年、甲鳥書林・刊。
新年四季別の582句に、初期句抄の「牧唄句抄」100句を加える。
著者は、戯曲・小説で有名だったが、日本文学報国会の事務局長となり(昭和17年)、(文学の出発時に新傾向俳句を作していた)その頃より再び俳句を吟じるようになった。
戦争吟もわずかにあるが、ファナティックではなく、冷ややかでもなく、冷静・義理的な句だと感じられる。
以下に5句を引く。
雲四散して初富士の夕眺め
寒き日やいつ迄裏に子女の声
黄な月を屋根にのせたる暑さかな
膝頭抱いて遠稲妻に居り
凍つる夜を羽搏くものゝある虚空
本文と無関係。
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