樋口覚「短歌博物誌」
短歌の先輩、竹の子さん(ブログ「竹の子日記」を運営。このブログのリンク集にあり)に勧められて、2007年6月2日に取寄せた(記事あり)、樋口覚(ひぐち・さとる)「短歌博物誌」を読みおえる。
文春新書、2007年4月20日・刊。
発刊より5年を経て、僕が成熟したのか、本が本性を現したのか。
生き物を詠んだ短歌を集めて、1冊の博物誌を成した労は、多とする。
ただし博学ではない僕が、納得できない箇所があり、貼った付箋は8枚になる。
45ページに「近年 愛玩動物としての首位の座を確立した猫…」とあるが、その根拠を知りたい。愛玩動物としても、最近の日本では犬が首位の気がする。
53ページに「馬が近代だとすると牛は古代である。」と述べる。その断定の根拠を僕は知りたい。牛は牛乳と牛肉によって、現代的でさえある。
167ページで中原中也の詩「サーカス」のオノマトペを「ゆぁーんゆょーよーんゆやゆよん」としているが、正しくは「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」である。
237ページで「現代の藤原定家といわれた塚本邦雄…」とあるが、僕は不明にしてそう書かれた文章を知らない。春日井建が三島由紀夫より「現代の藤原定家」と書かれた事は知っているけれども。
僕は何も、彼が間違っていると書くのではない。彼ほど博学ではない僕らにも、彼の著述を信頼できるよう、その根拠、典拠を示しつつ述べてもらいたいのである。
僕がその根拠、典拠を確認しなくても、確認が可能である事に拠って、著述の正しさは保障されるだろう。
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