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2012年8月17日 (金)

三國玲子「翡翠のひかり」

 短歌新聞社「三國玲子全歌集」(平成17年・再版)より、遺歌集となった第7歌集「翡翠のひかり」を読みおえる。

 原著は、昭和63年、短歌新聞社・刊。283首。

 彼女は入院中の病状好転期に、6階より飛び降りて自死した。享年63.

 次に引くしまいの作品にあるように、歌誌「求青」の編集責任者の任が重くすぎたのか。しかし彼女は先師の「潮汐」の有力歌人であったろうし、出版社で編集の経験もあったのだが。

 以下に6首を引く。

津軽野のみのりのうちにあざあざと疎開少女の悲しみ蘇る

一面の鏡となりてそそり立つビルディングあり兇事のごとく

苦しみてわが編みし書は書架にあり著者の大方はみまかりましぬ

ああ君は傍若無人うらうらとせし声ながらわが胸を刺す

誰も来ぬ誰にも会はぬ安けさも病みて二十日の髪うとましや

編集の無間地獄を念ふとも愚かに病みて刻を逝かしむ


 この全歌集には、そのあとに「略年譜」、「初句索引」、「巻末記」を収める。

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