山際淳司「逃げろ、ボクサー」
山際淳司のノンフィクション集、「逃げろ、ボクサー」を読みおえる。
角川文庫、平成7年・3版。
彼は、1948年・生、1995年・没。スポーツ・ノンフィクション作家として活躍し、他に小説・エッセイ・翻訳なども執筆したが、胃癌により46歳の若さで亡くなった。
名作をたくさん残して、生き急いだかに見える。
僕はこれまで、「エンドレス・サマー」(2011年2月2日の記事)、「スローカーブをもう一球」(2011年2月18日の記事)、「ルーキー」(2011年3月30日の記事)を読んでいる。
彼は重大な試合の重大な場面ばかりを描いているのではない。
表題作の「逃げろ、ボクサー」も、バンタム級ボクサー(日本のタイトルさえ取れなかった)の若年時代を追った作品だ。
「スクイズ・フォーエバー」も、翌年春のセンバツ高校野球を目指す札幌地区の一回戦を描いている。
丹念な取材と、強い思い入れと、惹きつける文体で、スポーツ・ノンフィクションをメジャーにしたと、僕は讃仰する。
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