詩誌「アリゼ」第149号
詩は、18名18編、「船室」と題する見開き2ページずつの評論等が4編、「舟便り」と題する半ページのエッセイが8編、収められている。
この詩誌の豊かさは、作品の数が多いだけのせいではない。余裕のある女性が多く、リードする男性陣もしっかりしている。
創刊年次を知らないが、長く詩誌を続けきて、同人の詩集等の上梓、またその受賞などもあって、培われた豊かさだろう。
M経子さんの散文詩、「しおりの記」より、
…………一人ひとりが大切な何かを失うことで生きて
きた時を経て、「生」をまろやかに熟する方へ動かし
たのはなに。……
の3行に願いと予感がある。
F優子さんの詩「希望」では、スカイツリーと、浅草寺の五重塔と、共に誉めながら、次の3行に希望を表している。
理屈はわかっていてもその現象に圧倒され
存在の謎は深まるばかりだが
知ることが失うことにつながらないように祈る
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