春日井建「水の蔵」
砂子屋書房「春日井建全歌集」(2010年・刊)より、第5歌集、「水の蔵」を読みおえる。
原著は、2000年、短歌新聞社・刊。
作品は早くまとめられた(1984年~1987年頃の作品)ものの編集が中断した。
1999年、咽頭癌により入院した際、第6歌集「友の書」、第7歌集「白雨」をまとめた折り、「水の蔵」も形としたいとの著者の願いにより、上梓された。
著者40歳代後半の、ダンディズムと身力が横溢している。
以下に5首を引く。
超高層の窓ゆ見てゐつ向う側の会議の卓は図面を拡ぐ
ディケンズの原稿の文字よどむなし窓の辺に蔦かづらは垂れて
物書くは返報とおもふわれのため晴夜暗夜を充たしめたまへ
遠ざかりまた巡りくる友誼とも走りきたらむ彗星の核
湯にしづみ夜の白雲見てあればわれに猶予の時あるごとし
当地は、今日も暑い。
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