石原吉郎「足利」
石原吉郎(いしはら・よしろう)の詩集、「足利」を読みおえる。
花神社、1977年・刊。箱、帯。
短い詩が多く、40編を収める。
これまで紹介してきた「石原吉郎全詩集」の終いの詩集「北條」に継ぐ詩集である。
折り目正しい、礼儀に篤い、彼の境地が表されている。
1編の短さ、1行の短さは、彼が関わった句作の影響があるかも知れない。
俳句の短い定型、季語のしばりでは、思いを述べることは難しい(?)。彼の、言外の思いを汲み取ってもらいたい、という詩作法は、それからも来ているようだ。
彼の短い詩「一期」全文を紹介する。
一期(いちご)
一期にしてついに会わず
膝を置き
手を置き
目礼して ついに
会わざるもの
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