間島定義「鋼と杉」
昭和55年、白玉書房・刊。
箱、宮柊二・題簽、口絵1葉。
昭和38年~46年までの作品、508首を収める。
手許には、この歌集の外に資料がない。
新潟県より埼玉県に移住し、「コスモス」の編集に加わった。
作品に「草木盡心」といった境に近づくものを加えてみたいと願ったようだ。
以下に7首を引く。
ゆたかなる夏迎へをり野の先の青さうるめる麦の畑は
利根川の瀬鳴りとよむにひびきあひ寂しも空のまほら逝(ゆ)く風
木馬道(きうまみち)を黒く素早く走り去り山むささびは谷にひそみつ
うつうつと心沈む日雨後(うご)の山登りてくれば韮白く咲く
水走る這松の下黒百合のしづけき花の逝(ゆ)く春を咲く
樅の葉に結びし霧氷(むひょう)かすかなる輝き放つ尾根の樹海に
歌選ぶ仕事より立ち先生のふとなにごとか呟きますを
なお1部、正字より略字に変えてある。
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