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2013年3月17日 (日)

一色真理「エス」

Cimg6843 一色真理(いっしき・まこと、1946~)さんの詩集「エス」を読みおえる。

 2011年、土曜美術社出版販売・刊。

 帯、29編。

 先の2月26日に、詩誌「群青」の同人3人が、喫茶店に集まった時(記事あり)、僕がAUさんに借りた詩集2冊のうち、後の1冊である。前の1冊は、3月3日の記事に、「相沢正一郎・詩集」と題して、アップしてある。

 彼は父との強い葛藤に由って詩作しているようだ。「あとがき」に、「父についてはこれまで折にふれてさんざん書いてきた。」と書かれるが、僕は彼の著作を初めて読んだので、作品を読むしかない。

 シュールリアリズムは、現実の変形(デフォルメ)と、取り合わせの意外性、だと思うけれども、彼の異空間は、ダダイスム(論理性を越えたもの)との、習合かと思う。

 幼少年期に苛烈な体験に遭った彼が、表現できるぎりぎりのスタイルなのだろう。

 詩「こわれた蝶々」全6連より、あとの3連を引用する。

  こわれた蝶々

  (前略)

あいた穴から

意味のわからない言葉や

外れたネジや配線が

ばらばらと落ちていきます。


どこかでヒューズが飛んだらしく

お日さまも消えて


ぼくの心の中も停電で

真の闇です。

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