田村広志「島山」
平成16年、角川書店・刊。
かりん叢書181篇、帯、490余首。
彼の父は沖縄戦で亡くなり、母は4人の子を育てあげて亡くなった。
沖縄を訪ね「平和の礎(いしじ)」等を巡る旅を繰り返す。また母への挽歌も多い。
戦争とその後遺の悲惨を生活で以って体験した彼は、平和主義の崩れてゆく日本、アフガニスタン戦争を怒る。生活詠に挟まれながら。
以下に7首を引く。
たんぽぽに似たる小花の咲き闌けていのちしぶとき地縛りを抜く
空襲に焼けただれなお無花果は乳(ち)垂るる実を恵みくれたり
髪刈られ痩身いよよ細まれり今年芽吹かぬ冬木立、母
沖縄の土となりたる魂魄の父に触るると五体投地す
夢の島、ベイエリアなどと呼び換えて都市のダスト・ボックス埋立地
ひどくひどく耳ざわりなる「空爆」を伝え冷静なこのバリトンは
USA、きみらはいつまでよその国を戦場にして踏みにじるのか
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