村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
村上春樹の新作小説、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を、アマゾンに予約注文し、その本が届き、先日に読みおえた。
文藝春秋・刊、2013年1刷。
「ノルウェイの森」(僕はこの小説のストーリーをよく覚えていないが)と同じく、徹底したリアリズムで描かれている。
それは前作、「1Q84」3部作と比べれば、判然とする。
ストーリーは、成人する頃の苦難と、30何歳かになっての、傷の回復への旅である。成人になる頃の苦難は、誰にでも訪れるものだ。
僕はその挫折に耐え得ずして、大学を中退してしまったから、回復への巡礼もなかった。宗教ではない救いを僕は得ており、仕事も定年後であり半分降りている。
その苦難を経て、順調に生きた人は、ある時その苦難を心理的に解消したいものだろう。青春と大人への出発の、1つの物語である。
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