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2013年6月 5日 (水)

吉田律子「残華」

Cimg7032 東京都・在住の歌人・吉田律子さんの第2歌集、「残華」を読みおえる。

 2010年、ながらみ書房・刊。

 帯、1ページ2首。近田順子・跋、あとがき、を付す。

 第1歌集「孤高の貌」の完成を待たずに夫(大恋愛の末に結ばれた、とのこと)が癌再発により逝き、10年所属した「かりうど」の師・青井史が逝き、自身は鬱病となった。

 しかし短歌との縁は切れることなく、「未来」所属の近田順子の指導を受け、信仰の力もあり、第2歌集上梓に至った。

 亡夫恋の作とともに、海外旅行詠も混じる。お孫さんを詠んだ作もほほえましい。

 以下に7首を引く。


此の世との別れ告ぐるか夫の眼は見守る吾にしかと真向かう

胸内に牡丹を秘めて生きし師よ唐突に崩れ逝きてしまいぬ

子には子の我には我の思いあり夫三回忌 水無月の風

水脈(みお)という美しき生すでになくただひたすらに混濁を生く

我の手に暖かき手の重ねられ誰なんだろう夢から覚めて

売却の印鑑押しつつふとよぎる三十代のローン重き日

君の亡き初春四たび迎えつつ残華秘めゆく女となりぬ

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