入野ゆき江「清流」
先の8月1日の記事で購入を報せた、4冊の内の1冊である。
ふらんす堂、2010年・刊。箱、帯。
彼女は俳誌「朝」(岡本眸・主宰)所属。
岡本眸「お祝いの言葉」、330句、加瀬美代子・跋「慈愛のこころ」、「あとがき」を収める。
彼女は夫婦でクリスチャンのようで、宗教の救いと文学の救いの折り合いが、僕には今一つわからない。
句風は大胆である。
以下に5句を引く。
黙々と栗むく夫の長寿眉
荒磯の風摑みたる春の鳶
滝水を生活に汲みて葛の花
パン種のふくらむ気配台風裡
白湯のみて動悸なだむる霜夜かな
なお蛇足ながら註をつけると、1句めの「夫」は「つま」、2句めの「鳶」は「とび」、3句めの「生活」は「くらし」、5句めの「白湯」は「さゆ」と、読む事と思われる。俳句や短歌には、特殊な読み方をする語や、雅語がある。
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