「たとへば君 四十年の恋歌」
河野裕子・永田和宏「たとへば君 四十年の恋歌」を読みおえる。
文芸春秋、2011年・2刷。
このブログの8月20日の記事で、購入を報せた3冊の内の、1冊である。
歌人・河野裕子の闘病と死去、家族の看取りは、歌壇以外の社会にも知られて、幾冊かの本になった。
この本は、河野裕子・永田和宏の出会いから、河野の死去まで、二人の相聞歌380首に、河野のエッセイ集からの抜粋、永田の文章を挟んで、感動深い世界が明らかになる。
「蒸留水(永田)」と「井戸水(河野)」と河野裕子が喩えた、純粋な二人が頼り合って、歌を支えに生きて、学問で業績を挙げ(挙げさせ)、二人の子供たちを独立させた生涯は、讃えられるべきである。
河野が癌を病む前の、壮の頃の歌を、1首ずつ引く。
もの言わで笑止の蛍 いきいきとなじりて日照雨(そばえ)のごとし女は
永田和宏
このひとは寿命縮めて書きてゐる私はいやなのだ灰いろの目瞼など
河野裕子
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