等々力亞紀子「透明に」
「コスモス」の先達、等々力亞紀子さんの第2歌集、「透明に」(1978年、白玉書房・刊、コスモス叢書第116篇)を読みおえる。
結婚してわずかで夫と死別し、一人息子は遠く働き、自分も一人働いて暮らした。心苦しい生活で、短歌が生きる力の1つになったであろう。
出版にあたり、宮師がすべての作品(538首)に目を通し、題を選び、題簽を書いた、と「あとがき」にある。
彼女は健康で、働く意欲もあり、また「コスモス」大会に参加するなど、頑張り屋で羨ましい。
写真は、箱の表である。
以下に7首を引く。
疾風(はやち)吹く夕べの街に買ひもてりグラジオラスとダリヤの球根
わがひとり働く事に變らねど子に會ひてより何かがちがふ
疲れては椅子にゐねむりしています構へなき顔みて了ひたり
歳晩の勤めをさめて乘りたれば疲れねむりき終着驛まで
四十日添ひたりしのみの夫にして把へがたなくわが裡に生く
耳さとく齒の勁きことたのみとしあきらめ惡く老にし向ふ
夜の刻に除籍謄本いだし見つ父も母もまた夫も亡ければ
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