小池光「時のめぐりに」
砂子屋書房の現代短歌文庫「続々 小池光歌集」(2008年・刊)より、第7歌集「時のめぐりに」を読みおえる。
このあとに第6歌集「滴滴集」を収める。
原著は、2004年、本阿弥書店・刊。
今月24日の記事「草の庭」に続いて、取り上げる。
この歌集は、歌誌「歌壇」(本阿弥書店)に、2003年4月号より同題で1年間、連載した作品をおもに収める。
「後記」に拠ると、休日にはしばしば電車で遠出し、用のない町を歩いて、作歌の感興を誘ったそうである。尋常でない気もするが、1年間の連載となると、そうしなければならなかったのだろう。
以下に5首を引く。
化けの皮が剥がれるときにめりめりといふ音すらむその音聞かむ
花といふこの「幻影の紹介者」つかのまの虹とれとささやく
ゆめならば曾祖父四人曾祖母四人ひとつ座敷に座りをりけり
歯車の嚙み合ふときにはさまりし砂粒(さりふ)なんといふひびきを立つる
いいでせう硝酸一瓶ちやうだいな、などと言ひくるあやしげな生徒(やつ)
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