オウィディウス「名婦の書簡」
平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」(1960年・刊)より、古代ローマ詩人、オウィディウスの「名婦の書簡」の抄訳を読みおえる。
今月7日の記事(←リンクしてある)、ティブッルス「詩集」より、に継ぐ。
オウィディウス(BC43?~AD17?)は、初期の恋愛詩集「恋の歌」「名婦の書簡」「女の化粧法」「恋の技法」「恋の療治」、円熟期の「変身物語」「祭暦」、黒海の僻地・トミスへ追放された後の「哀しみの歌」「黒海からの便り」「イービス」、他の作品を執筆したとされる。
この「名婦の書簡」21編より、ここでは3編を訳している。原文の1編で約200行程あるせいか、散文形式で訳されている。「オエノーネーよりパリスへ」「アリアドネーよりテーセウスへ」「サッポーよりパオーンへ」である。
神話の女性(サッフォーは歴史上の人物とされる)が、背いて去った夫や恋人へ送った書簡、という想定の詩である。神話には男女差別はなく、手紙を書く必要も無かった筈だが、という思いが、この詩の興趣を薄めている。
このあと「黒海からの便り」より6編が訳載されている。
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