水上比呂美「潤み朱」
東京都にお住まいで、「コスモス」会員・「棧橋」同人の、水上比呂美さんの第2歌集「潤み朱」を、取寄せて読みおえた。
2014年3月、柊書房・刊。
高野公彦・選、502首。
第1歌集「ざくろの水脈」は、2009年9月26日の記事(←リンクしてある)で紹介している。
豊かな心が、豊かな発想の短歌を創らせる。
連作「八雲立つ」の大作96首に苦吟したようだが、あとがきに「その苦労は大きな財産になるとてもよい経験でした。」とある。
以下に7首を引く。
ポケットが七つ付きたるズボン穿き戸隠森林公園あるく
日曜の市庁広場に古(ふる)のつく本、服、箪笥ひろげられをり
一斉に銀色の蝶飛びたてり十のハンドベル打ち鳴らすとき
西調布駅工事中ホームより栄螺のなかをくぐるごと出づ
犀川はをとこ川とふ浅野川はをんな川とふ日本海で逢ふ
武蔵より肥後の空まで飛ぶ鳩よ八十円の切手になりて
肩幅の座席にすわり膝幅のカバンを持ちて渋谷に向かふ
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