村上春樹「アンダーグラウンド」
講談社文庫、1999年・1刷。
とにかく大部だった。文庫本で777ページ、2段組み。
いったんはスルーしようと思った本だが、のちの彼の理解になるかと、古本を買って読んだ。
読みおえて1番感ずるのは、村上春樹の「物語る」事への凄まじい執念である。死傷者多く、凄惨な事件の被害者へインタビューし、話の時間的にまとめ、ある程度の長さにまとめ、彼の特徴である豊かで穏やかな文体に直す。
インタビューではないけれど、犯罪のドキュメンタリーとしては、カポーティ「冷血」のほうが、優れていると思う。
いったん取材を受けながら、書物化されることを拒んだ人々は、自分の経験を物語化されることを、拒否したのだろう。
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