井上春代「陽だまり」
2011年、六花書林・刊。329首。
中地俊夫・選・跋文、小池光・帯文。
井上春代さんは、1948年・生、1991年・「短歌人」入会。
彼女の歌は、歌集題名にもあるように、明るい作品が多い。
ただしその危うさを知っており、明るければ幸せとは限らないと、歌の中でも詠っている。
「あとがき」では、歌に救われた道筋を、自覚している。
以下に6首を引く。
「実験」と子はビー玉を転がして家に傾きあるを指摘す
コロッケが大好きと言いつつ少年はたちまちにして七個食いたり
夫がいて子がいて未だ淋しきと言えば褪せゆく風の曼陀羅
( )つき数式のように物事を難しくして生きていないか
鶏卵を産み落とすごと製氷皿みたす氷の音のくらぐら
アミノ酸のご機嫌うるわし百回もまわせば納豆ねばりてやまず
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