「渡辺白泉全句集」より(8)
沖積舎「渡辺白泉全句集」(2005年・刊)より、仕舞いの8回めの紹介をする。
昨日の同(7)に続く。この全句集には、重複を除き、1300句を収める。
没後に見出された、自筆稿本「白泉句集」の「瑞蛇集」は、1945年~1968年の句を収める。
その内は「霧の舟」と「夜の風鈴」に別れ、間に5年くらいの空白があると、「あとがき」の中で述べている。
白泉の息子、渡辺勝氏が栞に「父との思い出」の中に、「父の九番目だかの継母によって…」と書いた部分があり、白泉は母親の愛情には恵まれなかったようだ。
以下に5句を引く。
切通しきたりし犬のくさめかな
鶯やくりまつかしはくぬぎなら
湧く風よ山羊のメケメケ蚊のドドンパ
万愚節明けて三鬼の死を報ず
行雁の僕を見てゆく一羽かな
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