「渡辺白泉全句集」より(7)
昨日に続き、「渡辺白泉全句集」より、7回めの紹介をする。
自筆稿本「渡辺白泉句集」より、執筆禁止を命じられていた頃の句をまとめた、「欅炎集」と題された集である。
古俳句を研究した系の「散紅葉」、応召中の「水兵紛失」に分けられる。
水兵として応召した(その前に「損害保険統制会」に転勤したのは、前線に送られるのを避ける為だったか)が、日本の港を移動したのみで、大きな戦闘は無かったようである。
以下に5句を引く。
散紅葉
浅草に時雨れ居りとは誰知るや
紅梅やたゞまるかりし母の顔
焚火すや欅の炎二三枚
水兵紛失
海兵に夏ゆふぐれのながさかな
玉音を理解せし者前に出よ
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