「渡辺白泉全句集」より(6)
沖積舎「渡辺白泉全句集」(2005年・刊)より、6回めの紹介をする。
今月4日の記事、同(5)に続く。
紹介するのは、白泉の没した(1969年1月30日)あと、見出された自筆稿本「白泉句集」より、1933年~1941年の作品を集めた、「涙涎集」である。
作句を始めてから、俳句弾圧事件に遭うまで、俳壇で活躍した頃の句である。
「白泉句集」は生涯より496句を集めたから、優れた句ばかりだが、以下に5句を引く。
街燈は夜霧にぬれるためにある
濃藍の海を抱かんと飛びこめり
あげて踏む象の蹠(あうら)のまるき闇
飛行機となり爆弾となり火となる
吾子逝川 6句より
早春の空へ消えゆく吾子見るな
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