細見綾子「冬薔薇」
角川書店「増補 現代俳句大系」第9巻(1981年・刊)より、初めの句集、細見綾子「冬薔薇」を紹介する。
この「大系」第8巻の読了を今年7月5日の記事(←リンクしてある)で報告したあと、「渡辺白泉全句集」を8回にわたって紹介(7月17日~8月10日)するなどして、少し間が空いた。
原著「冬薔薇(ふゆそうび)」(第2句集)は、1952年、風発行所・刊。
中村草田男の長い序文、331句、原子公平の跋文、あとがき、を収める。
細見綾子(ほそみ・あやこ、1907年~1997年)は、若くして父母、夫を亡くし、自分も病床に臥したが、俳句への励みを支えとした。1947年、俳人・沢木欣一と再婚、10冊に及ぶ句集を上梓した。
句は、肝っ玉母さん風でもあり、豊かである。
以下に1942年~1951年の作より、5句を引く。
塩買ふや紫がゝる冬日暮
この雪は松がゆさぶり落しゝ雪
昼顔や線路が忘れられてゐる
夏来る直路といふもかなしかる
みごもりや春土は吾に乾きゆく
季節ものの梨である。初めはこの倍くらいあったのだが、少しずつ食べたので。
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