野村喜舟「小石川」
角川書店「増補 現代俳句大系」第9巻(1981年・刊)より、4番めの句集、野村喜舟「小石川」を読みおえる。
先の10月10日の記事(←リンクしてある)、「杉田久女句集」に続く。
原著は、1952年、渋柿図書刊行会・刊。
松根東洋城・久保田万太郎・水原秋桜子の序文、1000句(原著には3607句あったが、この「大系」の都合により選んだ)、自跋を収める。
野村喜舟(のむら・きしゅう、1886年~1983年)は、松根東洋城の「渋柿」に参加、1977年・主宰。
この「小石川」」には、東京・小石川に住んだ頃(明治43年~昭和8年)の、下町情緒濃い作品を収める。戦前の句だが、抒情的なところがあり、息苦しいところが無い。
新年春夏秋冬より、1句ずつを引く。
一切空赤く出でたる初日かな
解き捨てししごきの中の子猫かな
居眠りの老のうなじや時鳥
懶さも暑さも残る己かな
磧湯に馬を入れやる冬至かな
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