斎藤史「風に燃す」
大和書房「斎藤史全歌集」(1998年5刷)より、第7歌集「風に燃す」を読みおえる。
第6歌集「密閉部落」は、先の11月21日の記事(←リンクしてある)で、紹介した。
原著は、1967年、白玉書房・刊。1959年~1966年の、あしかけ8年の632首を収める。
彼女は、1962年(53歳)、主宰誌「原型」を創刊し、「短歌人」を退会した。
信濃に永住を決め、不利を有利に転換し、年齢的充実もあっての、「原型」創刊だったと思われる。
信濃の風物、人情、自身が主観性強く詠まれている。
以下に6首を引く。
あたたまり眠らむとしてつぐ梅酒に杏仁うすく匂ふことあり
衰残をみづから言へる人とゆく同じみぞれにたたかれながら
行く方(かた)を遠く持ちたれば山国の河しあはせに走りて止まず
とりかへしつかざる生(せい)のため叫ぶケージの中に産むめん鶏ら
凍らむとする水道の水うけて飲めばつらぬく冬のさびしさ
若き日のいく年暗く毟(むし)られて帰り来し娘と行けば 風花
注:1部、旧漢字を新漢字に替えた所があります。
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