阿波野青畝「春の鳶」
角川書店「増補 現代俳句大系」第9巻(1981年・刊)より、7番目の句集、阿波野青畝「春の鳶」を読みおえる。
先の11月22日の記事(←リンクしてある)、水原秋桜子「残鐘」に継ぐ。
原著は、1952年、書林新甲鳥・刊。1946年~1951年の312句を、作年順に収める。
阿波野青畝(あわの・せいほ、1899年~1992年)の第3句集である。「戦時中の句は散逸してしまった」としていたそうだが、そのような言が通る現代ではない。
敗戦の痛手から立ち直る時、寺門への親密さをきっかけとしているようだ。ただし信仰のない僕には、ポイントにならない。
以下に5句を引く。
早春の鳶を放ちて宝寺
安居尼大きな寺を委されし
螢にもある物語旅に聞く
宝冠のごとくに枯るる芒かな
咳く人に電光ニュース走りをり
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