水原秋桜子「残鐘」
角川書店「増補 現代俳句大系」第9巻(1981年・刊)より、6番めの句集、水原秋桜子「残鐘」を読みおえる。
先月10月29日付けの、久保田万太郎「草の丈」の記事(←リンクしてある)に継ぐ。
原著は、1952年、竹頭社・刊。1950年秋~1952年秋の作品、448句を収める。
戦争責任論、第2芸術論の嵐が去り、生活も落ち着いたのだろうか、小春日和のような長閑さである。
これでは、失われた20年などを経た、今の僕たちを打つ衝迫が少ない。
ただし1952年の還暦あと、医業を捨て俳句に専心して精進したと、解説にあり、その成果を読んでみたい。
以下に5句を引く。
鰯雲こゝろの波の末消えて
鷽の来てあけぼのゝ庭に胸赤し
山雲の真白雲立ち汗わする
夏潮の紺ぞ匂へる大鎧
萩咲けり浅間をのぼる雲みだれ
コメント