色川武大「百」
新潮文庫、1992年2刷。
色川武大(いろかわ・ぶだい、1929年~1989年)は、阿佐田哲也のペンネームで、ギャンブル小説も書き、僕は文庫本でそれらも少し持っていたが、本を整理した際、それらは処分した。
彼の純文学では、同じく文庫本で「離婚」、「引越貧乏」を読んだと記憶している。
この本の「連笑」は、二人兄弟の、弟が生まれた時から、兄33歳、弟27歳までを描いている。二人兄弟にしかない、親密さを描く。
「ぼくの猿 ぼくの猫」は、幼い時の猿や猫の幻影につきまとわれた話である。
「百」、「永日」は、百歳近い老父の、衰えと老耄を中心に、母、自分、弟夫婦等を描く。
フィクションはあるだろが、このような小説も佳い。
コメント