上村占魚「霧積」
沖積舎「上村占魚全句集」より、第3句集「霧積」を読みおえる。
今月2日の記事(←リンクしてある)、「球磨」に継ぐ。
原著は、1955年、的場書房・刊。497句。
戦後の「第二芸術論」等に対して、「社会性俳句」「根源俳句」等の動きの激しかった時代(と僕は推察するのみ)に、写生を守り続けた。
後記に「わたしが極度に人為的美化手段を避けて、ひたすら真実の諷詠につとめて来たことだけは…」と述べている。
以下に5句を引く。
噴煙を見て佇つ白根登山口
波走り千鳥が走り渚ゆく
野蒜掘る今宵の酒をたのしみて
遭難のざわめきにある登山口
埃よりかろく緋目高孵り浮く
注意:引用の1部に、旧漢字を新漢字に替えた所がある。
フリー素材サイト「Pixabay」より、連翹の1枚。
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