上村占魚「萩山」
沖積舎「上村占魚全句集」(1991年・刊)より、第5句集「萩山」を読みおえる。
先の4月16日の記事(←リンクしてある)、第4句集「一火」に継ぐ。
原著は、1967年、笛発行所・刊。1961年~1965年の705句。
旅の句が多いが、作句かたがた、地方の俳誌(1949年、29歳で創刊・主宰した「みそさざい」と、その類縁の俳誌)の句会の評者として、費用の1部を得ていたと思われる。
また途中の1964年に父(82歳)が亡くなり、その12日後に次男(15歳)を交通事故で亡くした。
上村占魚(1920年~1996年)は、14歳で母を亡くし、長男は生れてしばらくで亡くなっている。
家族的な悲運を克服すべく、どのような句が現れるか(生来の楽天家と称しているものの)、期待される。
以下に5句を引く。
猫の恋やうやくをはり月まどか
庭うちに湧く水ありて蛍来る
著莪咲いて日ざしまぶしくなりにけり
形なき子を連れあそぶ秋の山
吾妹子よ寄りそへ鶴の鳴くからに
注・引用の1部に、旧漢字を新漢字に替えた所があります。
フリー素材サイト「Pixabay」より、スミレの1枚。
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