« 「2015 囲碁年鑑」 | メイン | 奥華子「優しい花の咲く場所」 »

2015年5月22日 (金)

近藤芳美「異邦者」

 岩波書店「近藤芳美集」第2巻(2000年・刊)より、第7歌集「異邦者」を読みおえる。

 先の4月14日の記事(←リンクしてある)、第6歌集「喚声」より間が空いてしまった。

 原著は、1969年、短歌研究社・刊。1960年~1964年の807首を収める。

 1ヶ月間のソビエト旅行(268首)、翌年の欧米旅行(145首)での作品を主とする。

 ソ連の希望的な言葉の影の不気味さ、アメリカの豊かさの中の貧窮も詠んでいる。

 あちらにもこちらにも付くというのではなく、豊かな高福祉の社会を夢見ていたのではないか。

 以下に6首を引く。

モンゴルのかたかと思う地の起伏夕月は顕つ藍暗きはて

吾らのため開く扉のなき事も常に「平和」のかげあらぬ声も

ついに来し思いにチェーホフの椅子に凭(よ)るを部屋昏るるまで吾を咎めず

国越ゆる無人地帯につづく柵はるか没り陽のひかり無き見て(オランダ国境)

オーバーのままの貧しき食卓にみな独りなり老いし白人

郷愁の感情不意に声震うひとりと歩む商社の青年

Flower722070_640

フリー素材サイト「Pixabay」より、アイリスの1枚。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.mitelog.jp/t/trackback/238785/33410347

近藤芳美「異邦者」を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート