村野四郎「罠」
筑摩書房「村野四郎全詩集」(1968年・刊)より、第1詩集「罠」を読みおえる。詩集が逆編年順に置かれているので、詩集編の最後にある。
記事としては、今月18日の記事(←リンクしてある)、「『体操詩集』拾遺」に継ぐ。
村野四郎(1901年~1975年)は、初め新傾向俳句を創ったが行き詰まり、大学での独詩の講義を受け、詩作に移った。川路柳虹らと「炬火(たいまつ)」を創刊した。
この「罠」(1926年、曙光詩社・刊)には、川路柳虹の序文を受け、52編を収める。
モダニズム風の新しい修辞(レトリック)を発見して喜んでいる状態である。のちのノイエ・ザハリヒカイトにも実存にも至っていない。
「都府の詩」より「3・暁」を引用する。
3・暁
広場には多くのBUSが
まだ羊のやうに やさしくまどろんでいる
――酷い今日が
その荒々しい手で追い回すには間(ま)がある
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