村野四郎「予感」
筑摩書房「村野四郎全詩集」(1968年・刊)より、第6詩集「予感」を読みおえる。
先の8月27日の記事(←リンクしてある)、同「故園の菫」に継ぐ。
原著は、1948年、草原書房・刊。17編を収める。
その「小序」で彼は、「戦争は、べつに私の詩をもえたたせなかった。戦後の平和も、とくべつにそれを燃えあがらせることはなかった。」と述べている。彼が翼賛詩の多くを書いたことは消せない。
彼が戦時中にファナティックでなかったとして、戦後の自由と民主も信じなかった。彼が信じたのは、資本の論理であろう。資本の側に立ち得、家族と共の裕福な生活が彼の願いだったろう。
そして抒情の欲求を満たすために詩を書く。彼の嘔吐感は、そのギャップに拠る。
彼が戦後詩に残した罪は、深いのだ。
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