飯田龍太「百戸の谿」
角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、6番めの句集、飯田龍太「百戸の谿」を読みおえる。
先の11月24日の記事(←リンクしてある)にアップした、清崎敏郎「安房上総」に継ぐ。
原著は、1954年、書林新甲鳥・刊。256句。
飯田龍太(いいだ・りゅうた、1920年~2007年)は、飯田蛇笏の4男であったが、兄たちの病死、戦死により、家督を継ぎ、俳誌「雲母」の主宰を継いだ。
句集「百戸の谿」は、逆編年順であり、1953年の92句より、次第に減る。
戦後に出発した俳句集として、叙情と新機軸が合致し、清新である。詩人の大岡信が評価したように、戦後詩の「櫂」グループに比されるだろう。
以下に5句を引く。
いきいきと三月生る雲の奥
夏山に照る瀬ひびくは夕べのため
月の坂こころ遊ばせゐたるなり
抱く吾子も梅雨の重みといふべしや
寒の水ごくごく飲んで畑に去る
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