鈴木真砂女「生簀籠」
角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、9番目の句集、鈴木真砂女「生簀籠」を読みおえる。
今月13日の記事(←リンクしてある)、平畑静塔「月下の俘虜」に継ぐ。
原著は、1955年、春燈社・刊。久保田万太郎の序句、168句、大場白水郎の跋文、後書を収める。
鈴木真砂女(すずき・まさじょ、1906年~2003年)は、旅館の女将を経て、小料理屋「卯波」を経営。戦後、久保田万太郎の「春燈」に入り、主宰の没後の交替にも、同誌に拠った。
戦後の句ばかりとはいえ、戦前から俳句を学んだ臭みはある。
僕は詳しくは知らないが、彼女のアマチュアリズムが句を救っている。
以下に5句を引く。
初凪やものゝこほらぬ国に住み
病人に鰈煮てをり春の雨
そむきたる子の行末や更衣
小づくりは母親ゆづり秋袷
波先のすぐそこにあり冬の菊
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