柏崎驍二「北窓集」
短歌の友人に借りた、柏崎驍二・第7歌集「北窓集」を読みおえる。
2015年9月、短歌研究社・刊。420首。
前の歌集「百たびの雪」は、このブログの2010年10月2日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
岩手県に住んで、自身は退職し、2人のお子さんも独立した。
2011年には大地震と原発災害があった。津波被害が、繰り返し多く詠まれている。
著者は闘病中と聞き、結社誌「コスモス」の選も休んでいる。ご健詠を願う。
以下に7首を引く。
風ありて雪のおもてをとぶ雪のさりさりと妻が林檎を剥けり
熊のゐる山にて採りし竹の子の白きあはれのものを賜びたり
孫つれて精一杯に逃げしとぞ夫の遺体は見つかりしとぞ
流されて家なき人も弔ひに来りて旧の住所を書けり
大ぎ波がまだ来るごどを忘れんな、おつとごろくとごろくとほつほ
近き家に少年の葬ある日なり雨が音なく巣箱を濡らす
炉に燃ゆる焔の色を見てをれば山鳩のこゑちかく啼きたり
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