「梅崎春生全集」第1巻(5)
沖積舎「梅崎春生全集」第1巻(1984年・刊)より、5回めの紹介をする。
同・4回めの紹介は、先の3月31日付け記事(←リンクしてある)にアップした。
今回に読んだのは、「小さな町にて」(やや長め)、「水兵帽の話」、「万吉」、「蟹」、「奇妙な旅行」、「歯」、「山伏兵長」の7短編である。
「小さな町にて」、「奇妙な旅行」、「歯」の3作品は、戦後の物語で、「歯」はわずかに戦時の事が入るのみでなぜ戦争ものに入っているか判らない。戦後に残る戦時のしがらみを描いて、執拗である。
戦時ものも、自分より戦争に向かない性格の兵や、敗戦直後の後輩を描いて、かつての衝迫力はない。
平時の生活の日常に、作家の胸中もまぎれて行ったのだろうか。
コメント